連合のトピックス

その①

連合大阪時代のトピックスその1➡:私の場合は警察ではなく、あろうことか、連合大阪という労働組合の民主主義?の職場で、私の自著「正義の労働運動ふたたび」(2007版、労働ペンクラブ賞受賞)の出版に際して、職権で「事前検閲」(憲法21条で禁止されている)が強行されました。当時の上司は伊東文生会長(パナソニック)・脇本ちよみ事務局長(大阪教組)の違法行為でした。この出版妨害事件他四件をまとめた「連合大阪訴訟」を提起しました。彼らの所業は所属会社の利益や自らの地位・名誉を守るための不埒な動機でした。訴訟記録等は私のブログ(http://kanamehiroaki.com)に搭載してますのでご閲覧あれ。・・・なお本題に戻って、本投稿記事中、プラカードを掲げた女性でまだ裁判を起こしていない方が知人の山口たかさんです。近々に裁判参加されるようです。その後安倍・岸田首相の襲撃事件が連発しましたが、最高裁では「ヤジ」「プラカード」側が必ず勝利するでしょう。蛇足ですが、安倍の祖父岸信介も首相退陣後、池田勇人の自民党総裁就任パーティで、右翼の荒牧退助に刺されている。統一教会に肩入れした岸・安倍一族の因果な結果(事件)という他ない。岸田も韓鶴子救世主に呼びつけられている。早く「解散命令」を出さなければヤバイですよ。

その②

連合大阪時代のトピックスその2:「大酒呑み」の太田房江(現自民党参議院議員)がはじめて大阪府知事になる選挙戦(2000.2.6)。あの鈴木宗男衆院議員(阪南畜産の北海道利権に浴する)に案内されて太田房江候補者・連合大阪政治担当役員y(故人)らが「食肉の帝王」の浅田満邸を訪問した。選挙支援を求める目的だったが、帰りに100グラム1万円もする食肉を土産にもらってきた。そんな肉は庶民の口に入ることのない超極上のものだ。当時、連合内でちょっとした話題になった。ちなみに、逆のケースであれば選挙違反(買収)だが、訪問先から金品をもらうのは違反ではない。総評時代、浅田の会社=阪南畜産で全国一般が組合を作ったが、組合員全員が「買収」されて、一夜にして潰されてしまった。連合時代になり数年前、ハンチク(旧阪南畜産)で捲土重来を期して自治労全国一般が組合を再結成して闘っていたが、今度は連合大阪が第二組合(2022年、大阪地域合同労組)を作ってしまい、組合が併存する異様な状況になっている。

その③

連合内トピックスその3:自治労の季刊機関誌「自治労通信」がデジタル」化に!「現代の理論」もデジタル化して数年になるが、実際にどれだけの人に読まれているか確実な数値は不明だ。必要な論文はプリントアウトして読まないと。歳を取ると視力が弱くなるし、集中力と根気が無くなるのが弊だ。しかし、自治労も組合員数を大幅に減らしているから仕方ないか。日教組も80万から実数で20万人を割り込んでいると聞く。単組で6万人とJR内で最大だったJR東日本労組は2018年の「スト」を嫌悪した会社側に切崩され、組合が四部五裂、脱退者が続出し、非組の社員が4万人に達した(2021有価証券報告書では同労組は4233人➡2023年では3267名に)。唯一?単組で発行していた季刊機関誌「セミナー」も発行停止に追い込まれたようだ。国鉄解体に次ぐ不当労働行為事件を目の当たりにしながら、連合は「見殺し」でやり過ごし。すべての現象(病症)は権力と対峙する労働運動が失われた結果だ。労働運動側の罪は大きい。

その④

連合のトピックスその4:人間性、人格批判は論外だが、彼女が委員長を兼任する単組(ミシンメーカーJUKI)の賃上げがゼロ!そしてこのエクスキューズ(言い訳)!・・・この状況下でナショナルセンターのリーダーとして旗を振り続け、組合員・労働者の心に響くメッセージを発信し続けることはしんどいだろう。彼女にこれ以上、無理させるべきではない。関係者の面々は然るべき対応をするべきだろう。連合や単産のトップは「社会的地位」だから、当該者は企業籍を切ってこそその任を果すことができるというものだ。

連合会長の出身労組はベアなし 「組合員は悔しい思いをした」:朝日新聞デジタル

労働組合の中央組織・連合の芳野友子会長は21日の定例会見で、委員長を兼務する出身労組の春闘について、基本給を底上げするベースアップ(ベア)がなかったことを明らかにした。会社の業績が悪かったためだとい…

その⑤

連合時代のトピックスその5:この有名な施設もかっては県の直営施設で労働組合もあった。しかし民間委託によって荒廃し、植松死刑囚によって凄惨な事件に発展する。新自由主義の席巻をとめないと。大阪も橋下の「府市合わせ=不幸せ」政策によって、公共部門は民営化で閉鎖・縮小・労働条件の改悪の合理化の嵐に見舞われたが、連合大阪は自治労の労働組合の闘いを見殺しにした。これに味をしめた維新は、国会議員の定数削減・議員報酬の削減等、国民に耳障りの好い政策を打ち出し、「第二自民党で好い!」として、他の野党の生存を脅かしている。

障害者施設の「民営化」を進めていいのか? やまゆり園事件から7年 元入所者家族は、元職員は何を思う:東京新聞 TOKYO Web

相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人が刺殺された事件は、26日で発生から7年を迎える。元職員の植松聖死刑囚(33…

その⑥

連合のトピックスその6:「連合会長の任期は2年。今年10月が改選期で、通例が2期4年のため、芳野会長の続投は既定路線とみられる。しかし、自民党との距離が近すぎるうえ、「組織の日程を優先できない会長のままでいいのか、という疑問は静かに広がっている」(前出の連合幹部OB)という。」(記事引用)

連合・芳野会長が日教組の定期大会をドタキャン! 中央執行委ら「顔をつぶされた」と激怒|日刊ゲンダイDIGITAL

まさかのドタキャン──。連合の芳野友子会長のあり得ない”不手際”が政界や労働界でちょっとした騒ぎになっている。…

その⑦

連合のトピックスその7:あろうことか、連合会長芳野友子が万博協会理事、労基法違反の共犯者に!「外国パビリオンの建設が万博開催に間に合わない」と悲鳴を上げ、万博協会が建設労働者の時間外労働の上限規制の適用除外(労基法違反)を政府に要請していた。あろうことか、この万博協会(会長・経団連十倉会長)の理事に連合・芳野友子会長が名前を連ねている(8.1朝日新聞「社説」)。これでは連合は「抗議声明」は出せんわなぁ。➡芳野連合会長は利権・名誉職漁りの万博理事を即刻辞任し、連合は芳野会長を速やかに解任せよ!労働者を欺き、利益相反の違法行為に加担してしまった。全労働者に謝罪せよ。・・私の懸念通り、彼女は「ガラスの断崖」の突進し自滅した。麻生副総裁との酒の毒が回り、立ち位置が狂ってしまっている。

「労働者の犠牲やむなしと言わんばかり」 万博「残業規制外」に抗議:朝日新聞デジタル

大阪・関西万博のパビリオン建設の遅れを受け、主催する日本国際博覧会協会(万博協会)が、時間外労働の上限規制を建設業界に適用しないよう政府に求めたことに対し、労働問題に取り組む弁護士らでつくる民主法律…

その⑧

連合のトピックスその8「連合会長芳野友子はなぜ左翼を嫌い、自民党寄りなのか」:私、要も連合大阪やJAM大阪の「できの悪い」役員らから「左翼」と疎まれ排除されてきました。彼らの左翼に対するヘイト、フォビアは並ではありません。三池争議以降の60年代、当時の優秀な中卒の「金の卵」は松下電器やクボタなどの大企業に採用され、会社や同盟の思想教育で右翼労働運動の「闘士」に育て上げられていくのです。彼らは企業エリートのコースは望むべくもなかったので、組合を通じての出世を求めたのです。無産階級の子弟なのに悲しい道を選択したのですが、彼らの小賢しさと会社の応援があってこそできた「組合出世」でした。それがゆえに死ぬまで会社への忠誠心、左翼への敵愾心が捨てきれない。まったくもって、悲しい性(さが)というか、「三つ子の魂、百まで」というか。彼らが連合などのトップ「社会的地位」の就くと、当然にまともな運動ができなくなる。割を食うのは労働者大衆だ。

その⑨

連合のトピックスその9:会長芳野友子が対峙しているのは「ガラスの天井」か「ガラスの断崖」か。「ガラスの天井」とは、資質・実績があっても女性を一定の職位以上には昇進させようとしない組織内の障壁を指す。女性やマイノリティが実績を積んで昇進の階段をのぼってゆくと、ある段階で昇進が停まってしまい先へ進めなくなる現象。鉄でなくてガラスであるのは「目では見えない障壁に阻まれている」ことからの表現である。反対用語の「ガラスの断崖」とは、企業の経営者や女性の政治家の選挙候補者などについて、失敗する可能性が最も高い危機的状況や不況の時期に、女性が男性よりもリーダー的なポジションにつきやすいとされる現象を指す用語である(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)。➡偏見無しに公平に判定すると、彼女の前にあり続けるのは依然として「ガラスの断崖(崖っぷち)」である。先の会長選では事務局長(自動車)がいち早く手を挙げたがトヨタ(会社)の意向で断念するなど、異様な役選状況だった。推薦で生まれた芳野会長は「ガラスの天井」を破ったとの思い込みも強い。在任中、政府・経団連あげての賃上げ、岸田首相のメーデー招待、麻生や小渕ら自民党幹部との会食、万博協会の理事就任など、政労使の「ネオ・コーポラティズム」もどきの雰囲気も醸し出すパフォーマンスをこなした。芳野会長にとって有利な風が吹き、致命的な大きな失敗もなかった。今回の役選も「誰も手を挙げる者」がいない。再選されるようだが、彼女には未来社会を指し示す資質もなければ、労働者の心に響くメッセージ力も無い。連合に鳴り響くのは弔鐘か、大政翼賛会の号砲か、連合の危機は続く。

連合・芳野会長、2期目続投へ 初の女性会長、賃上げ継続など課題:朝日新聞デジタル

労働組合の中央組織・連合は、芳野友子会長(57)を1期目(2年)の任期が終わる10月以降も続投させる方向で最終調整に入った。芳野氏は連合初の女性会長で、自民党との距離が近いとして連合内部から批判も受…

その⑩

連合のトピックスその⒑:連合は連合・産別・単組の「三階建ての家」ですが、最も力を持っているのは一階最下層の単組です。欧米との違いはナショナルセンターが人材・財政・統制力がない、「下剋上の世界」になっていることです。単組=企業内組合はユニオンショップによって「メンバーシップ型雇用」が保障された正社員の組織で、会社に対する忠誠心が異常に強い。現代版のブルジョアジーの世界です。その典型がトヨタの労使関係です。彼らは連合を「屁」とも思わず、そのトップの会長など「飾り物」と認識しています。組合の立憲・国民支持はいつでも自民支持に替わるでしょう。その証拠に立憲の現役議員を立候補辞退させたり、芳野会長の自民寄りや続投を支持をしているのです。旧総評系の単産の存在がかろうじて連合内のバランスを維持しているのです。

その⑪

連合のトピックスその11:2008リーマンショック前、貿易黒字の稼ぎ頭は輸送、電機、一般機器の三大機械産業。そのなかでも自動車はダントツだった。リーマンショック後、2009年3月期決算で、そのトヨタの最終損益で創業以来71年ぶりの赤字(▲4369億円)。電機はショック前から危機そして壊滅。鉄鋼・化学などの他の輸出は収支トントン。・・・さかのぼるが、2002春闘「奥田の一喝春闘」、デフレの真っ只中、トヨタは1兆円の史上最高の利益をあげてベア回答を用意するも奥田経団連会長の「一喝」でベア無し回答に。これで「ベア無し春闘」が定着➡企業収益と勤労者所得の逆相関関係が20年にわたって続くことになる(実質賃金は1997年から下がり続けている!)。いまトヨタは円安基調と消費税の還付で空前の営業黒字!労働界にとどまらず国の中でトヨタの主導権が強まっている。その主導権にトヨタの労組が関与できる?のは、春闘で許された限りでの<労使対立劇>を演じるだけである。

その⑫

連合のトピックスその12:UAゼンセンは傘下労組のストライキだから、当然、動いている。株式の譲渡に伴う企業再編によって従業員の地位は勝手に処分(転籍・譲渡)できない(民法561条・625条)。また労働組合があれば、その同意がいることが法定されている。私も知る古川景一弁護士がついているから法的にはぬかりがないだろう。ゼンセンはストライキ支援は織り込んだうえで、もっと大きな獲物、すなわち親会社セブンアンドアイと取引し、大がかりな組織化もしくは業界の労使関係の改変をねらってているだろう。これからの展開が見ものだ。

希流 on Twitter: “まあでもコンビニ関連ユニオンということであれば親会社との関わりでで全く無関係であるとも言えないかもしれません。そもそも池袋のような人が集まる場所でスト決行なら本来は関係者を動員し情宣をかけるのが当然の戦術ですからね。UAゼンセンもそれくらいは十分分かっているはず。 pic.twitter.com/V09zzSd5I6 / Twitter”

まあでもコンビニ関連ユニオンということであれば親会社との関わりでで全く無関係であるとも言えないかもしれません。そもそも池袋のような人が集まる場所でスト決行なら本来は関係者を動員し情宣をかけるのが当然の戦術ですからね。UAゼンセンもそれくらいは十分分かっているはず。 pic.twitter.com/V09zzSd5I6

その⑬

連合のトピックスその13:UAゼンセンは、そごう西武労組やセブン&アイグループ労働組合連合会と連携しながら、セブン&アイHDの経営陣に対してストに至らない経営判断を求めるなど、ストの回避に向けた後方支援をしていた。ストの影響で全館休業となった西武池袋本店ではアパレルなど加盟組合企業も多く関係することから、UAゼンセンとしてストの全面支援は難しかったとしている(記事より)。また、買収外資フォートレスのもとで、百貨店内の売り場スペースを大きく占めることになるヨドバシカメラの従業員はこれまた同じUAゼンセンに加盟している。上部組織(複合産別)としてのゼンセンは、これからの展開に、スト以上に手を焼く、というか手を出せない立場に立たされる。単純な利益相反のどちらに着くかというトヨタやパナソニックの「企業連」内の単純な対立・選択ではない。喰うか食われるか、新資本主義の企業競争に中で、企業横断的な労働者の闘いにどう連帯していくのか。闘いの歴史を持っているゼンセンは当事者であり指導者であることを忘れてはならない。

UAゼンセン会長「ストライキは増える可能性」 春季労使交渉念頭に – 日本経済新聞

流通や外食、繊維などの労働組合が加盟するUAゼンセンの松浦昭彦会長は7日に開いた記者会見で、そごう・西武労働組合が8月にストライキを実施したことについて「ストは労組の正当な権利だが、地域住民や顧客を考えると苦渋の決断だった」と述べた。今後、春季労使交渉が本格化するなかで「ストは賃上げ交渉の一つの戦術として増えてくるのではないか」との見方も示した。そごう・西武労組は前の親会社であるセブン&アイ…

その⑭

連合のトピックスその14:ひいきの引き倒しにもならへん!犬と猫は番えないが、経営者と労働者は番えることがある。その見本のような番(つがい)がこの麻生と連合の芳野の関係である。双方とも「恥」とも自覚なし。芳野やその取り巻き連中は反省もしていない。労使関係の成熟というよりは腐臭を放つ爛熟だ。「自民党と芳野会長が一緒になってやった結果、3.58%の賃上げができた」(麻生談)。

折から、アメリカからのニュース。全米自動車労組(UAW)が経営者報酬に対応した40%超の賃上げ要求、これに対して各社回答が14~16%。14日までに妥結できなければ最大15万人がストライキに入る(9/13朝日)。賃上げもケタ違いだが、しっかりと闘っていることが衆目によく見える。マスコミに官製春闘や官邸春闘と何時まで言わしめるつもりや。

自民・麻生太郎氏、賃上げは「連合と一緒にやった結果」 – 日本経済新聞

自民党の麻生太郎副総裁は6日、賃上げに関し「芳野友子氏が連合の会長になり、自民党と一緒になってやった結果、かつて2%台だった賃上げ率が3.58%に上がった」と述べた。都内で開かれた高校生向けの特別講義で語った。「インフレに合わせて給与を上げるべきだと自民党は経営者にわんわん言った。連合も同じように言った」と説明した。「一つの流れとして変化が出てきている。自民党が給与の話を経営者に言う時代なんて

その⑮

連合のトピックスその15:「空打ち」のストライキはない❣ まずは当該のそごう西武のストありきで、同業共闘(旧商業労連)が連帯行動をとったことが大きい。ではそのストライキの成果・効果やいかに。時間・空間をこえて、当該労使をこえて光を発し、そして今回の買収劇は関係者の想定外の展開を見せてくれるだろう。

その⑯

連合のトピックスその16:「こんな人事をするのは、国民の批判なんか気にしないという宣言と同じ。頭が悪いのか人間が悪いのかのどちらかです。岸田さんにはこの国を任せてはいけないということがわかります。万死に値する人事です(9/16古賀茂明Twitter)。矢田稚子(元国民民主党参議員議員・電機連合)を首相補佐官とする人事。連合内では驚天動地の様相を呈しているが、野党側からすれば、「悪手」の人事でもない。連合は、この際、野党共闘の障壁となっている国民民主との関係を切れるチャンスだ。彼女は昨年7月の参院選比例区で16万票も取りながら落選した。立憲であれば二人当選するほどの得票だったが、国民民主の候補であるが故に落選した。私の推測では(国民民主の意向と言うよりは)岸田か麻生の「一本釣り」に彼女の欲が応えたとみる。次回選挙では自民党議員として報われることに賭けたのだろう。玉木代表も無節操だが、彼女はその上を飛んでいる。野党は「野党共闘」形成を急ぎ、総選挙に備えるべきだ。

読む政治:狙いは国民民主か産別か 矢田氏を首相補佐官に 岸田政権、起用の妙 | 毎日新聞

岸田文雄首相は15日、首相官邸でパナソニック社員で元国民民主党参院議員の矢田稚子(わかこ)氏(57)と会談し、賃金・雇用担当の首相補佐官に任命した。自民、公明、国民民主の3党連立樹立を模索してきた政権は、労働組合の電機連合出身の矢田氏起用で民間労組や国民民主との距離を縮め、連立構想実現への布石とす

その⑰

連合のトピックスその17:結局、矢田稚子氏は高卒女子の苦労人、単組(パナソニック)役員の上昇志向の、「ガラスの天井破り」自認の芳野会長と同じタイプだった。首相補佐官就任のアプローチは、官邸筋➡会社➡組合➡電機連合➡連合だったが(9/16連合会長記者会見)、これ以前の水面下の動きとしては、矢田本人への働きかけ➡本人承諾が当然にあった。驚くべきは読売新聞の暴露。「岸田首相の組閣案には国民民主の一名入閣があったが、連合など(要注:などは「自・公」だが顕名はなぜか伏す)から反対もあって実現できず」と報道。何のことはない、矢田就任の件は芳野会長に事前打診が為されていたのだ。芳野会長は9/16記者会見(動画)で「連立参加はありえない。連立すれば連合が割れる可能性も」などと述べているが、当該トップとしての怒りがない。別掲動画の毛ば部とる子氏は「芳野の自己実現のために旧民社の右を引き連れて自民党に行きたいのでは」とまで言わしめている。総選挙の前後に大山鳴動するかも。

その⑱

連合のトピックスその18:リベラル党はそれこそリベラルに大同団結し、ナショナルセンターを基盤にしてこそ自民党に対抗できる。リベラル的団結のなかで、自民党寄りのリベラル、共産党寄りのリベラルと言うか、「左の右」や「右の左」や言うて善良な人民を惑わしてはならぬ。私は総評時代は「二本(日本)社会党」で苦労してきた。連合時代は「4~5本民主党」で苦労させられてきたが、いまや、連合組合員とりわけ大企業組合員の政党支持は自民党支持が大勢となっている。「矢田わか子」事象はその小さなエポックで、もっと大きな地殻変動が連合の組合・組合員の中で起きているのかもかも。だから、暗愚の首相が支持率が落ちても安穏としていられる。

「矢田さんとは距離を置く」連合会長が訣別宣言 元野党議員”総理補佐官就任”の波紋と野党分断 | TBS NEWS DIG

9月15日、国民民主党の元参院議員で、党の副代表も務めた矢田稚子氏の総理補佐官起用が閣議決定された。矢田氏は高卒でパナソニックに入社し、パナ労組の幹部を経て、電機メーカーの労働組合でつくる「電機連合」…

その⑲

連合のトピックスその19:連合結成=労働戦線統一で、労働運動はどう変わったか

・労戦統一は「内なる闘い」:論争「なぜ労戦統一は必要か」

・労戦統一は新たな分裂と産別再編の始まり

・連合結成時の熱狂と今日の停滞(①組織率の低下②交渉力の低下③争議の激減④求心力の低下)

<ex1>「派遣が増えたら労組が弱体化、労働運動が廃(すた)れたら労働省も小さくなる(厚労省に吸収)」(2008.8.15朝日、村山元首相)

<ex2>「顔合わせ、心合わせ、力合わせ」(連合結成のスローガン)・・・顔合わせはできても心合わせ、力合わせができていない。この30年余で失ったものは大きい。分裂と統一の歴史を検証し、反省することなしに過ごした。責任の所在、自己批判もなく、それを曖昧にしたままで『攻めの運動』をやろうとしても本当の心合わせ、力合わせができてないので到底無理」

<ex3>「疑獄、汚職事件もただ酒をご馳走になる習慣から起きる」(京大瀧川学長の式辞)、「ただ酒には大きい落とし穴が、ただゴルフも大変危険であることを肝に銘じ、けじめを失うな」(京大井村学長の式辞)

―――➡続く。

その⑳

連合のトピックスその20:これを見て、今の連合の芳野会長は反ストライキ主義者だから吐き気を催すか、チビるだろうな。・・・「私たちはUAWと労働運動全体に闘いを取り戻そうと闘っている」とフェイン会長は言う。「勝つためにストライキをする用意のない労働組合は、片手を後ろに縛られた戦士のようなものだ。ストライキという武器がなければ。、労働者は一方的に負けるだけだ。何十年もの間、同じことが繰り返されてきた。すなわち、無制限の企業権力による労働者の力の喪失である。その結果、社会全体に大きな不平等が生じている。力の均衡を取り戻すためには、ストライキを復活させなければならない」(記事中)

米国労働運動 : 拡大するビッグ・スリーでのUAWストライキ

【解説】全米自動車労組UAWの史上初めてのビッグ・スリー同時ストライキは、スト対象拠点を拡大しながら第四週に入っている。一週ごとにストライキ対象職場を増やし、今では全米20州に拡大している。9月26日にはバイデン大統領が部品配送センターでのピケ・ラインに激励のために訪れ、史上初めてストライキのピケに参加した大統領となった。他労組はもちろん、国民一般からの支持も広がりつつある。世界各国の自動車…

その㉑

連合のトピックスその21:連合会長も参加した「新しい資本主義実現会議」が、賃上げを成長の軸にするてか❓

 連帯が競争に負け、分断と格差が顕在化した。低賃金が構造化された三つの問題。一つは労基法などの改悪で「賃金の女性化」と「労働時間の男性化」が進んだ。二つ目は雇用の劣化(派遣・有期などの非正規、個人事業主・偽装請負など)が進んだ。三つ目は多層の下請・分業の産業構造(ピラミッドの底辺、30人未満の企業の人件費は付加価値構成の90%を占める)で企業間格差拡大。非正規労働者は40%超を占め、100人未満の企業の組合組織率は1%以下。非正規は「団結・連帯」を考える時間・体力・金銭的的余裕がない。零細企業の労働者は「組合を作ったらウチの会社はもたない」と考えている。かれらは労働組合の「不毛地帯」で生きる。解雇・賃金不払い・差別・パワハラ、多様な労働相談は年間100万件超の高水準が続いている(労働局・労基署集計)のに組合結成には至らず、首切りや倒産、そごう西武のような企業再編が起きたときに組合加入を決意してユニオンに駆け込んでくる。このほか、日本には労働運動の陥没没地帯(民間大企業)、労働運動の封じ込め地帯(公務員)という荒野が広がっている。失われた30年余、下がり続けた実質賃金、落ち込むことすらあった異常な名目賃金。ぺんぺん草も生えない労働土壌、ストライキを忘れた労働組合、スト嫌いの連合会長も参加した「新しい資本主義実現会議」が賃上げと成長の構造化を打ちあげているが、その処方箋を本当に出せるのか。成長は少子化で終わっているし、闘わない労働運動と組んで、低賃金構造を切り崩せるのか。総選挙向けの、官製ヤルヤル詐欺に終わるのではないか。

その㉒

連合のトピックスその22:Amazon配達員の個人事業主に初の労災認定❣

日本労働弁護団の棗一郎先生が担当されたのですね。おカネにならない労働事件専門の棗先生の特集記事を何処かで読んだ記憶があります。「お金にならないからやらないとか、勝てないからやらないとか、当該労働者がやる気がないからやらないとなると、権利は目減りしていく一方。何とか儲かって、労働者もやる気が出る方法を考えて大量に提訴すれば、勝てるようになるのではないか」、私の敬愛する村田浩司弁護士の言葉です。彼は、パナソニック(連合大阪会長企業)の偽装請負事件の当該労働者(一人争議)の代理人でした。大阪地裁で負け、高裁で逆転勝利、最高裁で負けの悔しい展開でした。「雇用のない経営」で個人事業主を使い倒していたAmazonに正義の鉄槌下る。これを突破口に❣

アマゾン配達員の個人事業主に初の労災認定 従業員とみなし休業補償 | 毎日新聞

インターネット通販大手「アマゾンジャパン」の商品配達を担う運送会社から業務を請け負う個人事業主の男性(65)が配達中のけがについて、横須賀労働基準監督署から9月26日付で労災認定を受けていたことが明らかになった。

その㉓

連合のトピックスその23:岸田の大会出席は野党分断と労働者票の簒奪❣連合は政権のちょうちん持ちを止めよ❣生活苦の怨嗟の声に向き合え❣

 厚生労働省が9月8日に発表した7月の毎月勤労統計調査によると、実質賃金は前年同月比2.5%減少しており、16カ月連続のマイナス。春闘の賃金のアップが物価上昇に追いついていないという実情を示しているといえる。そんな状況下で“経済の新しい息吹”というまるで生活が上向いているかのような岸田発言に、SNS上では批判の声が殺到している。

《岸田文雄の感じる「経済の息吹」とは、自分とズブズブである経済界にとっての利益であり、一般の国民は蔑ろにされ、格差が拡大する状態だ。》

《岸田さんが30年ぶりに感じている「経済の新しい息吹」って・国民のため息 ・国民の悲鳴なんだよ》

《ちょびっと給料は上がったけど、物価高で、どこに消えたのかわからない 国民の生活水準は、悪化の一途。異次元の政策って言うけど、岸田総理の頭の中こそが、理解し難い異次元空間》

《国民として言わせてもらえば1つも光は見えない!未だ暗闇の中ですよ しかもどんどん酷くなってる 寒冷地はこれから長い冬が来るというのにね》(「女性自身によるストーリー・4時間」引用)

その㉔

連合のトピックスその24:何年の定期大会で「反自民・非共産」➡「親自民・反共産」に方針転換したのか、明らかにせよ。そんな方針書は承知してない。もう一つ、立憲も国民も「反自民・非共産」の「連合リベラル」の枠内で再団結すること、一緒にやれない議員は去ればよいのでは。過去は百合子に分裂させられたり、現在は岸田に矢田わか子を首相補佐官に拉致されたり、・・一昔前、連合大阪で躍動した「連合リベラル」の原点と言うか枠内に回帰するべきだ。しかしリベラリズムとは、自由民主党の「自由」とは違(たが)え、また鈴木宗男のように自由に飛跳ね、勝手気ままができるというわけではない。労働者全体の利害を代表するものでなければならない。

首相、透ける「労組票取り込み」狙い…連合大会に出席 警戒する立憲 | 毎日新聞

岸田文雄首相は5日、東京都内で開かれた連合の定期大会に、自民党政権の首相としては16年ぶりに出席した。重要政策として掲げる賃上げの実現に向け、連合を重視する姿勢を鮮明にした形だが、国政選挙で労組票を取り込みたい狙いも透け、岸田政権と対峙(たいじ)する立憲民主党は警戒を強めている。

その㉕

連合のトピックスその25【なぜストが打たれなくなったのか】:  そもそも何(根拠・基準)を以って、会社回答を「限界回答」(これ以上上積みできない上限回答」)と判断するのか。要求と同時にスト権を確立し、回答日(3月中旬)の回答が不満であれば闘争体制(旗揚げ・残業拒否➡ストライキ)に入る、が王道と言うか正道である。最近の春闘は、回答日から1か月前後で決着する「短期春闘」だ。その実を上げるためには、通常、「おしゃべり団交」だけでは、実質賃金を維持するため最低限要求「定昇+消費者物価上昇率=5%以上」を勝ち取ることはできない。要求を貫徹するためには、団交+アルファの取り組みをしなければならない。最低限要求が取れなければ、その不足分は身銭を切って会社にボランティア労働することになる。これを組合員に納得させることは至難の業だ。そこで執行部は、団交+アルファの取り組みの「アルファ」が問われることになる。大手の一発回答には年間6ヶ月の「満額回答」がアルファの役割りを果しているのだろう(賃上げの不足分を一時金で補填!)が、中小では年収の半分(6か月分)もの一時金は望むべくもないし、中小の執行部はどうやって組合員を説得と言うか泣かせているのだろうかと不思議だった。労働者も中小企業を選んだのは自分、つまり「自己責任」と観念し、あきらめているのだろうか。史上空前の実質賃金の低下とストなし春闘が20年余も続いている、日本の労働界。権利はあっても使わない、労働者は「物言わぬ農民」(大牟羅良)と同じになってしまったのか。 

 <結論>階級社会が存在していてるイギリスと違って、日本は組合役員OBが会社役員になる社内システムが完成している。昔、全国金属であり、不祥事を起こしたオリンパスは委員長が社長に、書記長が専務に「出世」していた。大手から中小までこのシステムが出来上がっていて、とりわけ中小では、労使融合型もあれば、ヨーロッパの「工場委員会」の変形型もある。これではストライキは望むべくもない。

記者の目:そごう・西武労組、ストの意義 示した交渉力高める効果=東海林智(東京社会部) | 毎日新聞

そごう・西武労働組合(寺岡泰博委員長)が、百貨店大手「そごう・西武」の売却を巡りストライキを打ち抜いた。大手百貨店としては1962年の阪神百貨店以来61年ぶりとみられる異議申し立てだ。「ストのない国」と称されることもある日本で起きた異例の事態は、スト権が団体交渉にもたらす効果を改めて示した。労使協

その㉖

連合のトピックスその26【なぜストが打たれなくなったのか】:   

 階級社会が存在していてるイギリスと違って、日本は組合役員OBが会社役員になる社内システムが完成している。昔、全国金属であり、不祥事を起こしたオリンパスは委員長が社長に、書記長が専務に「出世」していた。大手から中小までこのシステムが出来上がっていて、とりわけ中小では、労使融合型もあれば、ヨーロッパの「工場委員会」の変形型もある。これではストライキは望むべくもない。

「昔陸軍、今総評」と言われた時代。総評がゼネスト(2.1や4.8が有名)を打ち、産別は統一ストを打ったが、会社側はこれを受忍したので単組は個別ストを加重して打たなければ上積み回答を引き出せなかった。

その㉗

連合のトピックスその27:【今日の国連と連合、よく似てる】国連と国家、大国と小国の関係を咀嚼し、単純化してみたのですが、連合と単産、企業別組合の関係ととてもよく似ている。国連は主権国家に支配介入できないように、連合は「単産自決」を名分に単産に支配介入できない、単産は「単組対応」を名分に企業別組合に支配介入できない。国連から脱退も自由だが、連合から単産が、単産から単組が脱退するのも自由だ。そして、原発や政治課題などの重大な取り組みは三役会議(連合の「安保理」)で一致しなければ取り組めない。三役の産別には拒否権が認められているのだ。結成時はともかく、今日では連合会長職もブルシットジョブと言うか、ライオンズクラブの会長と大して変わらない。誰も手を挙げて迄なりたくない名誉職みたいなもの。そういえば国連トップの事務総長も昔ほど権威がなく、紛争調停力もない。連合会長もゼンセンと自治労の領土戦争(大阪・北海道)にはアンタッチャブルだ。世界の国連、日本の連合、実に驚くほどよく似てきている。難民が可哀想なように、非正規が可哀想。日本には公務員でありながら「公務非正規」という形容矛盾の存在、世界唯一の稀少種労働者がいる。

その㉘

連合のトピックスその28:2024年、来春闘の連合要求は「5%以上」の趣旨は既に芳野会長発言によって値切られている。今朝10/28朝日新聞「社説」のなかで、「今春闘の実績(3.58%)以上を目指す」と早くも本音を語っている。要求の二重基準はない!これでは「建前」としての要求の意義すらない。傘下労組は交渉の駆け引きの余地すらない。40年ぶりのエンゲル係数の悪い数値と17ヶ月連続の実質賃金の低下を前に、連合はウソでも空前の物価高にあえぐ労働者人民の味方を演じられないのか。孫埼享さんの懸念するように、体制側の「反体制側職業人」という利益相反を本気で行っている。連合の弔鐘が鳴り始める!

その㉙

連合のトピックスその29:全米自動車労組のストライキ、向こう4年半の間の25%の賃上げ勝ち取る。ストライキの威力を改めて見せつけた。日本の1974春闘では広範なストライキを背景に30%の春闘相場をたたき出した(それでも、高物価で9月には実質賃金はマイナスに!)。今春闘では30年ぶりの高賃上げ(定昇込みの5.38%)と政労使とも「構造的賃上げ」とはしゃいでいるが、実質賃金マイナスが17か月以上続き、労働者は未曾有の物価高で呻吟している一方で、円安で4兆5000億円の史上最高の営業利益を出したトヨタ自動車等輸出企業が円高で「我が家の春」を謳歌。このコントラストの落差を埋められない政治の不作為と労働組合の無力の何たるや!おしゃべり国会とおしゃべり団交だけでは何も変わらない😢

米国労働運動 : UAWストライキに屈したビッグスリー各社

【解説】10月30日、全米自動車労組はGMとの暫定合意に達した。これで自働車大手三社ビッグスリーの全てと暫定合意に達し、9月15日から始まった、ストライキは終結した。4年半の間の25%の賃上げなど画期的な内容を勝ち取った。その中には二層賃金の廃止、臨時労働者の即時の本工化、工場閉鎖に対抗してストする権利などが含まれる。全組合員の一票投票によって会長に選出されてからわずか半年で、ショーン・フェ…

その㉚

連合のトピックスその30:「ユニオン幹部・活動家養成講座テキスト」の再補充、とりわけ「連合運動」について必要と考えている。

その㉛

連合のトピックスその31:【なぜ、連合のリセット願望の声が上がらないのか】企業籍「JUKI(ミシン)」を持つ現役の単組委員長が(総評・同盟や連合といった)ナショナルセンターのトップを「兼任」するということは、芳野会長が初めてではないか。NCのトップは企業籍を切るか、プロ専従が歴史的に担ってきた。その理由は誰でも理解できる、単純明快だ。所属企業のあらゆる制約からフリーな立場で、労働運動の社会的役割発揮をならしめるためである。加えて総評では、いつでもゼネストを指導かつ実施できる単産出身が資格要件となる。これは単産の委員長要件でもある。ストもできない単組の委員長では立候補もはばかるし、当然他薦もない。以下は、芳野会長の責任ではないが、ミシンは衰退産業だ。全国で20~30社はあったが今では淘汰されて数社くらいではないか。23春闘でストはおろか賃上げゼロの出身単組委員長が、これから先、傘下労組にどの面さげて「5%以上」の賃上げを要請できるのか。連合役員、構成単産が「まともな賃上げ」を行なう意思がないから、こんな「ふざけた配役」ができるとしか言いようがない。傘下組合員そして国民をもあざむいている。ここからは「あざとい連合役員ー不憫な会長」という構図が見えてくるのは私だけだろうか。現世から隔絶したというか、偏狭な世間という連合。リセット願望の声が上がらないのも不思議だ。

その㉜

連合のトピックスその32:【11月15日日経新聞】ご意見、ご主張としては正しいことをおっしゃっていますが、連合のように「言うだけ」「書くだけ」では現実に何も変わりません。大から中小まで協調(御用化)せざるを得ないシステム(制度・慣行)が定着・機能している。そのシステムとは、従業員持株制度・企業年金・人事処遇制度など。課長から社長まで組合員OBが占め、大企業では書記長OBでも子会社社長に天下っている。これが異常なことではなく「正常」なこととして行われ、これを批判する側が「異常」とみなされる。まさに企業内労使関係は様変わり、私等とは180度真逆の世界だ。どないして、内部から変革できる?

No Title

No Description

その㉝

連合のトピックスその33:【連合のヤル・ヤル詐欺を卒業せよ】岸田の、持続的・構造的賃上げはひとえに経団連にかかっている。中小や非正規・派遣の賃上げを実現するためには、最賃の世界水準化、価格転嫁、下請けいじめの取り締まり(公取の咬む番犬化)、そして連合は大企業正社員組合の賃上げはほっておいて、(産別自決などと逃げないで)中小や産業別の足並みをそろえる努力に傾注すべき。暦年の「ヤルヤル詐欺」を卒業しなきゃ。確かな賃上げ事績をあげて、雀の涙ほどの連合本部費を値上げしなきゃ。よい人材が連合役員に上がってこないよ。

「なぜ岸田内閣の支持率が上向かないのか不思議」 経団連・十倉雅和会長は政策を評価:東京新聞 TOKYO Web

「なぜ、これで支持率が上向かないのか不思議だ」。 経団連の十倉雅和会長は20日の会見で、岸田内閣の支持率が20%台と低迷する理由を問わ…

その㉞

連合のトピックスその34【連合の人畜無害な、クソ談話】イスラエルの過剰報復の先例としてあげられるのはアメリカの原爆投下だ。人々が復讐の女神(ネメシス)を崇めるようになると、「非戦闘員に対する爆撃は野蛮で邪悪な行為だ」とする永年の意識は消え去り、相手の行為との「均衡」という交戦法規の理念を守る姿勢もなくなる。そして原爆投下。そもそも日本は戦闘員と非戦闘員の区別など無いと叫んでいた。「一億総特攻!」「一億玉砕!」つまり自国の老若男女、女・子供までも戦闘員とみなした。天皇は臣民(国民)つまり赤子(せきし:天皇の子)を自ら殲滅死に曝したのだ。アメリカに原爆投下の人道の罪も問えない。逆に天皇は人道の罪に問われ、死ぬまで共産圏を外遊できなかった。ちなみにオサマ・ビン・ラディンはメッセージ「アメリカ人へ」の中で、ヒロシマ・ナガサキの原爆投下を痛烈に批判している。

連合|中東の人道危機に対する談話(事務局長談話)

社会のさまざまなトピックスに対し、連合事務局長名で発表する連合の意見表明です。

その㉟

連合のトピックスその35【円安で外国人労働者不足に】デフレ下の労働力不足が常態の介護、建設、漁業、農業などの業界は、円高でさらに外国人の労働力不足に直面して苦しんでいる。テレビ報道では、供給国のインドネシアなどの出稼ぎ労働者は賃金のより高いカナダや西欧に向かっているという。輸出でぼろ儲けしている自動車などの輸出産業優遇の「円安」政策を転換し、国内産業のゆがみを是正したら。まずは、利権とつながった自民党への企業献金を取り締まらなきゃ。力のない業界は、献金の多い医師会や自動車工業会の引力(利権)に負けてしまう。

【賃金の国際的法則】すべての資本主義国家は、自国における労働条件を低下させようとする。①自国から、より低い労働条件の国々へと資本が流出する(産業が空洞化し雇用が減少する)のを防ぐためと、②自国より高い労働条件の国々からの資本の投下を求めるためである。これが一方の大きな流れである。

 しかし、すべての国々で際限なく労働条件を低下させることができるわけではない。労働者の抵抗によって労働条件を一定以下に引き下げることが困難な国々は、より低い労働条件の国々に対して自国の労働条件を強いようとする。これが他方での大きな流れである。後者の流れが弱いのが問題、労働者の国際連帯が大きく後退している。

報酬増で継続的賃上げ 介護19団体が大規模集会 – 福祉新聞Web

全国社会福祉法人経営者協議会、全国老人福祉施設協議会、全国介護事業者連盟、日本介護支援専門員協会など介護19団体の関係…

連合に鳴り響くのは弔鐘か、女性会長が突進する「ガラスの断崖」

[現代の理論]DIGITAL─2022冬号 VOL.29より転載

1.統一は分裂の始まり、平和は戦争の始まり
2.「アベノ春闘」にお株を奪われた連合労働運動
3.連合のアキレス腱:自由な連合体、脆弱な財政
4.連合に埋め込まれた三つの「地雷」:安保、原発、自衛隊
5.連合初の女性会長が突進する「ガラスの断崖」

1.統一は分裂の始まり、平和は戦争の始まり

最大のナショナルセンター連合(NC・日本労働組合総連合会)は、官民、あらゆる産別(産業)をカバーしているため、内部の政策要求の利害調整が難しい。利害対立は当然だが、妥協点を見出せないと政策要求は策定できない。政策が一致しなければ力の合目的的な発揮はできない。政権との対立軸のない連合の、漠とした状況が労働運動の方向感覚と活力を失わせてきた。連合、全労連、全労協とNCは鼎立しているが、三つとも組織拡大は果たせず、逆に減らしている。「戦争」には労働運動の建前上、右も左も賛成できないわけだから、NCの枠を超えた共闘をすべきではないか。安保闘争のように「1日共闘」でもしなければ、一般大衆には連合の「立ち位置」は見えてこない。

一方で、2017年7月、(当時、連合トップ就任と目されていた)UAゼンセン会長の逢見氏が「官邸で安倍と密会」などと報じられると、連合内外で戸惑い、混乱が生じるのは当たり前だ。この「脇が甘すぎる」パフォーマンスは何のためだったのか。非難を覚悟するほどの重要な意味があったのならば、それを「公人」として明らかにする義務がある。このほか、連合東京の舛添自民党支持(知事選)、橋下市長の不当労働行為攻撃に対する連合大阪の不作為、また構成組織(産別)の連合脱退はじめ、産別間の信義則を欠くような言動(JAMと基幹労連は選挙協力解消で関係悪化、自治労・UAゼンセンの間の札幌・大阪の「領土戦争」等)の数々。内外の信頼を損なうような事件の多発、目に余る大企業労組の「覇権主義」のような身勝手な振舞い、そして最近の役員選挙迷走の果ての連合初の女性会長、その人の「暴走」報道・・・末期症状のようだ。

過去に遡上するが、連合結成前後、「顔合わせ」「心合わせ」「力合わせ」が合言葉となって流行はやった。「ただ酒」「ただゴルフ」で「顔合わせ」はできたが、1987年の「民間連合」(全日本民間労働組合連合会)結成時には、総評・同盟間、社会党・民社党間の確執が尾を引き、「心合わせ」ができないまま、旧産別のまま構成組織として加盟するところも少なくなかった。1989年、官公労を加えての「連合」の誕生後、産別統一闘争ができる産業別労働組合の「進化」を次の課題とする「裸統一」(ゼンキン連合と金属機械の合併=JAM結成ほか)が先行され、また、対立の激しかった郵政や国鉄(JR)の職場では、全逓と全郵政がながく併存し、JR総連・JR連合・鉄産労の間では分裂・合従連衡が繰り返された。また、自治労が全国一般を吸収、ゼンセンが旧同盟の異業種を糾合する「複合産別」も生まれ、様々な離合集散が行われた。これが連合結成後も真の「心合わせ」に至らず、労働運動や社会運動における「力合わせ」ができ得ない大きな構造問題となる。

更に二・三の問題として、1987年「民間連合」発足以来、「悲願」であった安保・自衛隊・原発等の課題が現在に至るも棚上げされたままやり過ごされてきたこと(後述)、連合中央も地方連合も単産整理(合併)や産別間のトラブルにコミットしなかったこと、が大きな禍根となった。

連合は「言うだけ」「書くだけ」で主体的な闘いがなく、「やる、やる詐欺」みたいな世界になってしまった。連合は構成組織(産別)に対して「産別自決」でやりなさい、産別は単組に対して「単組対応」つまり好き勝手にやってよろしいといった、傘下の産別や単組に何の規制力もない融通無碍な「仲良しクラブ」に堕したままである。筆者は、会社>単組>上部組織(産別)>上部団体(NC)といった下剋上の組織構造、つまり企業主義=企業別組合主義の克服はじめ、「連合評価委員会報告」や「連合行動指針」を実践せよと訴え続けてきた。しかし、連合や産別は方針では企業別組合主義の克服をうたいながらも、実際に連合運動の構造問題にメスを入れることはなかった。十分に時間はあったろうに、不作為のまま、結成から3分1世紀を費やしてしまった。

今、労働界で、ある「杞憂」が現実になりつつある。それは、砂上の楼閣というか、寄木細工のように存在してきた連合が分裂、崩壊の危機水域に入ったような報道がなされていることだ(後に詳述)。

2.「アベノ春闘」にお株を奪われた連合労働運動

デフレ不況とグローバル化の圧力によるコスト削減のための賃金抑制と非正規雇用の拡大が進み、労働者は「下に向かっての競争」を強いられている。永年、中小零細の分野は「労働運動の不毛地帯」と言われ、100人未満企業の組織率は1%前後で推移している。「新しい不毛地帯」が組合の存在する職場にも急速に拡大してきた。有期労働契約の2000万人にのぼる非正規労働者群である。有期労働者の雇用年限は構造的解雇であり、権利と団結の芽を摘む。「年限を契約してしまった」と本人を呪縛し、周囲の同情も封じる。正社員組合からも排除され等閑視されている。

製造業の多国籍化は一層進み、2000年代に入ると企業業績の伸びが目立ち始め、「2002年から2008年までの長期好況のなかで、企業の収益は大きく伸びたにもかかわらず雇用者所得はほとんど伸びず、大企業セクターでは労働分配率が大幅に低下している」(「平成20年版経済財政白書」P74)。この間に、労働組合が交渉力を発揮した形跡は見られない。2002年はデフレの真只中、トヨタが史上最高益1兆円をあげてベア回答を用意するも、奥田経団連会長のいわゆる「奥田の一喝」でベアなし回答、「ベアゼロ春闘」が定着してしまう。

図表6-5① 名目国内総生産(GDP)の推移
日本だけ、1998年以降経済が縮小
図表6-5② 1人当たり平均賃金の推移
日本だけ、1998年以降賃金が低下

右掲の図表(山家やんべ悠紀夫「日本経済30年史」p189、岩波新書)「なぜ、日本だけ1998年以降賃金が低下し続けているのだろう?」の疑問。周知ことだが、賃金低下は図表の2013年を超えて21年現在まで続いている。その原因は「日本の企業別労働組合にある」と、山家氏は喝破する。

97年から2007年まで、日本経済は「構造改革」で最も大きな変化は「景気が良くなっても(企業が儲かるようになっても)賃金が上がらない構造へと変化したこと」。

ちなみに、98年以降、経済が停滞基調にあるのは、主要先進国では日本だけ(図表6-5①)、そして賃金が下落低下基調にあるのも日本だけ(図表6-5②)。その理由として「グローバル化説」があげられるが、グローバル化の進展は90年代初めからであり、その影響を強く受けたのは米国や西欧諸国も同じである。西欧はソ連圏の崩壊で旧東欧諸国と厳しい競争関係に立たされたがこれらの国では賃金は下落していない。また、構造改革に似た政策(新自由主義経済政策)を採っているが、賃金の下落は見られない。なぜ日本だけに?という疑問は残る。その答えは—―労働組合のあり方の影響が大きいのではないか。欧米諸国の労働組合は、主流が「産業別労働組合」である。これらの国では、産業別に、経営側と労組側が交渉して労働条件を決める。決定された労働条件で成り立つよう企業経営を行なわなければならない。一方、日本の労働組合は厳密には法内組合とは言えない「企業別労働組合」である。経営が成り立つように労働条件が決められる。この違いが大きい。

長期の賃金下降を憂慮した当時の福田首相は、2008春闘を前に経済界のリーダーを呼んで大幅な賃上げを要請した(2013年から始まった「官製春闘」の走り)。2007年夏から問題化し始めたサブプライム・ローン問題によるアメリカ景気の失速と外需不振を見越し、雇用者所得を引き上げ、内需拡大を図ろうとするものであった。しかしこの時も春闘の結果は政府の期待に沿うものではなかった。

2013年から10年間続いた「官製春闘=アベノ春闘」、つまり、政府が財界と「直接交渉」せざるを得なかったのは労働組合の交渉力が十分ではなかったからだ。交渉力が不十分というよりは組合の闘争力の低下といった方が正確であろう。争議行為件数の極端な減少は、個々の労使関係のなかで争議の伴わない「おしゃべり団交」が営々と行われてきたことを示している。筆者は、「こんな回答でストライキもせずに、どんなにして組合員を納得させているのだろう」と不思議で仕方なかった。組合員からもさしたる「異議申し立て」や組織的反発も起こっていない。御用幹部の所為(せい)ばかりとも言えない。正社員組合員も未来時間をローンで買い、自社株と企業年金等の見えない鎖につながれた囚われの身なのだ。

2016春闘からは、安倍首相は賃上げの奨励はじめ、「1億総活躍社会」とか「同一労働同一賃金」、連合のお株を奪うというか、「安倍は労働者の味方ではないか」と思わすようなキャンペーンだ。「月々6000円以上の組合費でベアなんて吹っ飛んでしまう。組合幹部はそのカネで飲み食いやゴルフ三昧。ベアだって官邸のおかげ。組合から脱退したい。」(大手電機メーカー社員、「選択」2016.6月号「四分五裂する労組『連合』」)といった「もの言う組合員」の声は予想外に広がっているのではないか。2016年7月10日の参院選では、労働組合員はじめ非正規労働者のなかからも多くのフダ(票)が自民へと流れ込んだ。比例区の世代別得票で、20~40代の世代で自民党の得票率が第一位で40%を超えている(NHK調査)。

労働運動理論の先駆者である清水慎三氏は、その時代を主導した民間大手組合の特質を解析・区分し、「企業別労働組合三段階論」を唱えた。その第一段階は<1940年代後半~50年代初期>の「戦後初期型」組合で、この原形を保っていたのは三井三池に代表される炭労や民営化以前の国労等であった。第二段階は<1950年~60年代前半>の、生産性に協力し、成果配分にあずかる「協調主義型」組合。第三段階は<1960年代半ば~1989年労戦統一前後>の「経営の末端職制と組合が融合した」組合。さらに筆者は、第四段階として<1990年代~今日まで>の、グローバル競争下で「組合機能が溶融(メルトダウン)した」組合を加え、「四段階」とする。第四段階の主導的労働組合の多くは、会社に忠誠を誓い、生産性を高めるよう最大の努力をするwilling slave(自発的奴隷)の構造を企業社会のなかに完成させた。一企業の利益よりも労働者全体のことが大事とする「階級闘争」派が刈りとられてしまい、活動家という「異分子」が駆逐されてしまった。

企業内の、とりわけ正社員意識の世界では、企業=イエ意識つまり自分の企業がもうかれば月給も上がるという考えの方が勝り、企業を超えて連帯して闘って賃金を引き上げる(「労働は商品でない」=カルテル規制の適用除外)という論理と運動が敗北した。そして、人事考課制度・職能資格制度・内部昇進制・福利厚生制度による企業主義への吸引、並行した組合役員の会社人事処遇化、団体交渉に前置される労使協議制の優位機能化、等によって、企業内組合はカンパニーユニオンと化している。

労働運動の頂上と谷間の極端な落差、その根拠のその一つは、役員資質の劣化と労働界の「2007年問題」といわれる、1945年敗戦後の二世代にわたる活動家層の払底である。この傾向は、連合といったナショナルセンター、単産、単組のレベルまで共通している。人材の劣化は年を追って深刻化し、労働運動の危機の主要素となっている。また、新役員のなり手がなく、ひどい単組では会社の手を借りて役員構成がやっとできるところも。会社にしてみれば、三六協定の代表者がなくなっても困るし、労使自治の外形が壊れてしまっても困るといった事情がある。

3.連合のアキレス腱:自由な連合体、脆弱な財政

2016年4月、化学総連(全国化学労働組合総連合。住友化学・積水化学・宇部興産・日本板硝子等20単組・約4万6000人)が連合を脱退した。

ブリッジ相手のJEC連合とトラブルがあったわけでもなく、JEC連合は一年間かけて説得を試みたが「取りつく島もなかった」と仄聞している。連合本部の逢見事務局長がUAゼンセン加盟の化学部会(東レや旭化成)も介して説得を試みたが失敗した。脱退理由も明らかにしていない、というか「理由がない?」というのが実相だ。脱退理由の不存在といった脱退は前代未聞だ。もともと化学総連の出自は、総評の合化労連の右派分裂組織の集まりだ。筆者に流れてくる情報では、連合に加盟していても何のメリットもない、お金(組合費)がもったいないといったところ。

また、2011年、セイコーエプソン労組(1万1000人)が、連合長野そしてJAMから脱退した理由も実はお金(組合費)だった。この労組は組合の闘争資金を株式に投資して大損し、その穴埋めに上部団体費を充てるための脱退だった。

脱退理由とされる上納組合費(連合会費ふくむ)といっても、所属する産別へ納める組合費は一人7~800円/月くらいだ。しかし「万単位」の組合員を擁する単組となると、800円×1万人×12ヶ月=9600万円と、年間1億円近い上納金負担となる。しかし単組では一人平均・月5~6000円の組合費を徴収しているから5000円×1万人×12ヶ月=6億円、6分の一程度の所属産別への上納金を高い(無駄)とみるかどうかは、単組の執行部の「志」のレベル、一般組合員の民意のレベルによる。それ以前に、産別などの上部組織は傘下の大手単組には上部組合費の納入実人員の調整(サバ読み)を認めるなどの「便宜」を払って、その引き留めに苦労しているのが実態だ。加盟する産別に魅力や統制力がなければ、カンパニーユニオンと化した企業別組合はいとも簡単に脱退していく。語るに落ちる話しだ。労働組合(「単組」、単位労働組合の略)は、組合員が理由もなく、何時でも脱退できる任意団体ではない。「脱退可」のケース(理由)は組合規約に定められ、それ以外の脱退は「脱退権の濫用」となり無効だ。ユニオンショップなどで団結強制が法認される法内組合だ。しかし、問題は上部組織(産別など)から単組が脱退するケースだ。圧倒的多数の上部組織は産業別労働組合(産別)を名乗りながらも、その組織実態は単組の緩やかな連合体だ。「緩やかな連合体」とは、規約で単組単位の団体加盟方式をうたい、単組組合員の個人加盟方式を認めていない。連合結成に伴う、新しい産別結成(産別合併)の際に作られた規約からは「個人加盟」が排除された。単組の組織脱退に際して、組合分裂などの紛議・トラブルを未然に防ぐためだ。会社の息のかかった単組を多く抱えていた旧同盟系が、加盟方式は「団体加盟」一本に強く固執し、旧総評系が譲歩した結果である。

連合を、三階建ての家に例えれば、一階は企業別組合(単組)、二階は産業別組合(上部組織)、三階はナショナルセンター(上部団体)ということになる。組織労働者の66%、800万人の結集というけれど、企業別組合の集合体にとどまっている。二、三階を強化しようとしていない。社会正義という労働運動の魂が薄れている。労働運動家が少なくなって、労働組合の管理者が増えている。「連合の家」は下剋上?の力関係になっている。それを許しているのが、財政(組合費)の問題だ。

問題は、労働運動の血液である財政(組合費)の大部分を単組が握っていることだ。「連合会費は組合員一人月額30円。かっての総評会費は90円、同盟会費は60円で、連合会費は総評の三分の一、同盟の二分の一という非常に脆弱な内容で年間予算規模は24億円。図体は26万人と大きいが所詮は単組にすぎない私(注:山岸章)の所属する全電通(注:現・情報労連)の予算規模が140億円だから、連合の予算規模は全電通の五分の一以下に過ぎない。昨年一年間(注:2013年)にわが国労働組合が集めた組合費は6000億円に達する。連合予算の24億円はその0.4%にしかすぎない。10%とは言わないが5%(それでも300億円になる)程度をナショナルセンターに集中する努力をしなければならない」(初代連合会長山岸章、2014.11「連合結成25周年 語り継ぐ連合運動の原点」所収、p17)。結成から25年経過しても「三階建ての下剋上」の世界は少しも変わっていない。産別・大単組の潤沢な予算・財政・共済の絡む不祥事報道も増えている(週刊ダイヤモンド2009.12.5号特集「労働組合の腐敗」ほか)。連合初代会長山岸氏の箴言は「道半ば」というより、「彼岸に」といった現状だ。

4.連合に埋め込まれた三つの「地雷」:安保、原発、自衛隊

原発再稼働、原発輸出

昔、連合大阪ができた頃、関電労組の役員と原発について論争したとき、彼らが言ったことを思い出す。曰く、原発は危険なものであることは認識している。だから完璧な安全管理を講じている。関電は、危険極まりない欠陥自動車(=原発)を買わされている被害者の立場だ。原発は小さな事故は起こしているが死者は出していない。自動車は公害(排気ガス)をまき散らし、交通事故で毎年何千人もの大量死を出しながら、「反自動車」運動が起きない。自動車には許されて、なぜ原発が批判されなければならないのか!

続けて曰く、「原子炉は電機連合、鉄鋼材は鉄鋼労連、ウラン鉱・核廃棄物の輸送に造船や日通、そしてJAM(筆者の出身産別)からは格納容器、バルブ、パイプ、バッテリー、消防自動車、送電鉄塔などを購入している。連合傘下の組合は『反原発』など言える立場ではない」(関電労組役員)。そして、納入業者からすれば、すべてを電気料金に転嫁できる「総括原価方式」を採っている電力会社は「言い値」で買ってくれる「おいしいお客様」、だから利益(儲け)も大きい。

連合大阪では、ここ長くは電力(関電)や電機(パナソニック)が歴代会長を占めてきた。連合の運動方針では「社会的労働運動」や「労働を中心とする福祉社会」をうたっている。「己(おのれ)の出身企業の立場を擁護するのであれば、連合役員(社会的役割)など辞めて、おとなしく、当該企業内組合の役員に納まるべき」と、筆者は説諭したものだが、彼らは反原発運動などを抑えることを使命として連合役員に派遣されており、人事処遇制度で厚遇されているから、聞く耳を持たなかった。

しかし、福島原発のメルトダウンの大惨事(2011.3.11)から7年余、国や電力会社が深刻な事故の可能性を知りながら、それでもなお、原発の再稼動あるいは輸出(輸出はことごとく失敗し、東芝・日立・三菱重工などが解体・身売りの憂き目に。国に助けてもらうために電力に続き、電機・鉄鋼・自動車の組合が自民党寄りにシフト!)へとむかうのは、リスクを超える経済的・政治的利益があるからだ。稼働停止のうちはまだいいが、一転、廃止になれば原発装置は莫大な不良資産化し、破産してしまう。

「原発はなくても電気は足りている」といった反論では十分ではない。早晩、原発なくしては電気が足りないくらいの成長をする国々が次々に登場し、日本はますます成長の競争で負け組になり、そうなればなるほど、「核」への欲望を募らせる自民党政府と電力会社(労組)・原発メーカー(労組)は一蓮托生を強める。

すでに始まっている武器輸出、戦争特需

2017年、戦争法が成立、武器輸出はすでに解禁となっている。需要創出の最たる即効薬は戦争であることは、古今東西の「常識」である。武器産業のすそ野は広く、市場も世界規模だ。原発どころの比ではない。ここ200年で地球上の資源は枯渇しつつあり、中国などの経済大国化で「資源戦争」は激化の一途だ。当時の、旧民主党や旧民進党の連合系民間組合出身の候補者のリーフレットを観る限り、反原発・反戦争法の記載もなし、所属政党の党名の記載もない。また、組織内候補者は比例区での上位当選を目指しているから、「投票用紙には政党名を書かず、とにかく、候補者名だけ書いて!」と懇願し、組合員を愚弄していた。出身産別の組合員数に見合った票数を叩き出せずに落選する候補者も(2019.7参院選比例区では、私鉄総連の立憲候補は8万票で当選、JAMの国民候補は19万票獲得するも落選)。戦争になると企業別組合が戦争協力させられてしまい、連合がそっくり戦前の「産業報国会」に衣替えするのではないか。

戦争法制は、海外派兵から有事法制、国民戦争動員へとまさに切れ目なくつながっている。 違法な戦争に送られるのは、自衛隊員だけではない。武力攻撃事態法によれば「指定公共機関」とは「独立行政法人、日本銀行、日本赤十字社、日本放送協会その他の公共的機関及び電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの」とある。政府のHPによれば、それは各電力会社、ガス会社、船舶、航空、JR、私鉄、バス、日本郵便、運輸、電話、テレビ、ラジオなど多くの企業が含まれる。国家公務員、地方公務員ほか、戦争に協力させられる危険の高い、産業の労働者は戦争法制反対に取り組むこと必要だったが、関係する組合が何か行動したという話は聞いたことがない。

「戦争法」が成立し、軍需産業が「戦争特需」でさらに潤う。しかし、すでに「戦争特需」と準国家総動員体制は展開されている。2003年に武力攻撃事態法が成立し、自衛隊法が改悪され有事法制が定められて以降、医療・通信・運輸関係の官・民が平時の軍需動員されている。以下は、筆者が知り得た日通のケース(その右傾化はひどい!)。2004年1月にイラク派遣された自衛隊の先遣隊が使用する装甲車などを日通が請け負って現地まで輸送した。1994年ルワンダPKOでは、自衛隊の帰国に際して、基地撤収の仕事を日通の社員がしている。全日通労働組合は、「自衛隊のイラク派遣にともなう輸送業務は、安全確保と本人の同意があれば従事できる」とする会社方針を受け入れ、「『自衛隊のイラク派遣にともなう輸送業務』は実施され、『イラク関連輸送などの特需』といわれるほどに、テロに遭う危険な業務と引き換えに戦争特需といえるほどに会社の大儲けとなりました」(『全日通労働組合第59回定期全国大会議案集』)。リスクの大きい仕事は利益率も大きく、味をしめると止められなくなる。戦争特需の、大きな利益率は麻薬のように労使をむしばむ。「安保」「原発」「戦争法」で動けないのも連合の構造問題だ。連合は、安保法制(戦争法)反対の声すらあげず、集会・デモの一つも行なわなかった。労働組合が「産業報国会」化され、国家に総動員されてしまった第二次世界大戦の愚を繰り返してはならない。戦争になったら、労働者の生活も命も会社も何もかも吹っ飛んでしまう。それを先の戦争、原発事故(2011.3.11)で目の当たりにしたはずだ。

5.連合初の女性会長が突進する「ガラスの断崖」

連合中央の会長選びは、まずは「立候補の受付」➡(立候補がなければ)「役選委員会の推薦」の建前をとっているが、実態は大単産の間で取引されて決まっている。会長・事務局長ポストは、旧同盟(ゼンセンor電力)・金属労協(=JC、電機or鉄鋼or自動車)間でタライ回しされ、会長代行は旧総評(自治労)の指定席となっていた。

連合結成=統一によって、最も遅れた「労働運動の陥没地帯」の民間大企業労組と「労働運動の封じ込め地帯」の官公労が連合の上層部を構成することになったが、「一致しないことはやらない、できない」(国連の安保理のような)申し合わせに自縄自縛され続けてきた。連合30年余の歴史は、闘いのなかから理論・政策を生み出さず、労働運動の「ノンポリ化」「御用化」が進んだ。EVに大きく後れをとったトヨタ等の自動車総連、ゾンビ大企業がひしめく電機、競争力喪失の鉄鋼・造船を抱える基幹労連、償却できない不良資産を抱える電力などは自民党政府の援助なしには立ち行かない・・・2021.10.6連合大会に向けての役員選びが難航したのには、このような背面事情があり、大単産(というより当該の大企業労組)にとっては会長・事務局長職は拾うことがはばかられる「火中の栗」だった。JAM(連合第5位の39万人、約2000単組の内60%が100人以下の単組)から連合トップの会長が選出されること自体が稀有な事態であり、長年にわたり中小労働運動の輿望を担ってきたJAMにとっても手の届かない「ガラスの天井」だった。

ところが、目の当たりにするのは信じられぬ光景、「火中の栗」を拾わされた芳野会長の「暴走」だ。会長に選ばれたのは産別組合のJAMではなく、実は連合の「女性枠」でキャリアを積んできた芳野友子その人だったのだ。彼女の出身は同盟系の旧ゼンキン連合、富士政治学校出のアクターで、幸運にも組合出世コースにのったステレオ・タイプの反共かぶれの女性と仄聞する。連合会長に就任以降の彼女の言動は首尾一貫し、ぶれることはない。バックにシテ役が付き、首相官邸に通じる人物が仕切っていると思われる。

「立場が変われば、言うことが変わる人がいますが、私はそうはならない。・・JAMの皆さん、応援してください」(JAMのホームページ「JAMインサイト動画」)と自己の信念=反共主義を貫くことを公言している。確信犯というか、天真爛漫というか、本人も「ガラスの断崖」(注記)がよく見えていないようだ。しかし、彼女の破天荒ともいえる言動はエスカレート、メディアへの露出も頻繁になる。初の女性会長ということもあって話題性もあるのだろう。事態の急展開に、連合やJAMの内外で困惑が広がっている。目にするネットでは批判の書き込みが激増している。

「芳野会長は、昨年12月には自民党本部を訪問し、茂木幹事長らに就任あいさつ。・・今月5日には岸田首相が自民党の首相として9年ぶりに連合の新年交歓会に出席した。そんな『与党すり寄り』が評価されたのか、芳野会長は岸田政権が肝入りで発足させた『新しい資本主義実現会議』のメンバーにも選ばれたわけだが、これじゃあ、ネット上で『会長は野党つぶしの工作員なのか』なんて批判の声が出るのも無理はないだろう」「法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は、こう言う。『労働者の利益を高めるためにはいま、何をするべきか。・・このままだと、連合は労働者の信頼を失い、組織そのものが自滅しかねません』」(2022.1.9日刊ゲンダイ「労働者の味方ヅラ『連合』の噴飯ふんぱん いよいよ正体があからさまに」)。このほか、「女性会長が破った『ガラスの天井』 なぜ共産党に拒否感?」(12.25毎日新聞・東海林智)、「自民 連合に接近」(2021.12.31読売新聞)、今にも「引き裂かれる連合!」といった見出しが躍る。連合の新年交歓会では岸田首相に挨拶させながら、立憲や国民の代表には挨拶させなかった。連合も罪なことをする。組合大会で上部団体より先に社長挨拶を受ける御用組合の作法以下だ。

軸のぶれない立憲野党、与党になめられない野党共闘がなくなれば、日本はアメリカにロシアとかイラクと同じように扱われ、等閑視される。このことが、連合の女性会長にはわからない。官邸警察ならぬ官邸労組をこれ以上増長させてどうする。

日本の連合には傘下組合への指導・統制力がない。ドイツのナショナルセンターDGBの産別統制力やIGメタル(金属産業別労働組合)の労使共同決定(協約による拘束力)もない。北欧のような強力なネオ・コーポラティズム(政労使体制)もない。狡猾な男たちが逃げ出し、最大の危機にある連合を引き受けた女性会長をして「ガラスの断崖」に突進させてはならぬ。岸田政権の「ちょうちん持ち」の役回り、「反共」「反共闘」の二つの「反共」を演じさせてはならぬ。最大のナショナルセンターのトップの地位はもはや「ガラスの天井」ではない。すべての労働者に最大限利益をなしうる「社会的地位」なのだ。「私は女性にしか期待しない」という女性の輿望も大きい、危機はチャンスでもある。老婆心ながら、労働組合 JAMの芳野友子さんに二言三言、自分ひとりの力でトップになったと過信しないこと、労働組合と政党の分限をわきまえること、そして「ガラスの断崖」に突進しないこと。(2022.1.22記)

 

(注記)ガラスの天井/ガラスの断崖:「ガラスの天井」とは、資質・実績があっても女性やを一定の職位以上には昇進させようとしない組織内の障壁を指す。女性やマイノリティが実績を積んで昇進の階段をのぼってゆくと、ある段階で昇進が停まってしまい先へ進めなくなる現象。鉄でなくてガラスであるのは「目では見えない障壁に阻まれている」ことからの表現である。反対用語の「ガラスの断崖(崖っぷち)」とは、企業の経営者や女性の政治家の選挙候補者などについて、失敗する可能性が最も高い危機的状況や不況の時期に、女性が男性よりもリーダー的なポジションにつきやすいとされる現象を指す用語である(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)


かなめ・ひろあき

1944年香川県生まれ/1967年総評全国金属労組大阪地方本部、91年金属機械労組大阪地本書記長、99年連合大阪専従副会長/93~03年大阪地方最賃審議会委員、99年~08年大阪府労働委員会労働者委員/著書に『倒産労働運動―大失業時代の生き方、闘い方』(編著・柘植書房)、『大阪社会労働運動史第6巻』(共著・有斐閣)、『正義の労働運動ふたたび』(単著・アットワークス、労働ペンクラブ賞)ほか。

『語り継ぐ1969』糟谷孝幸追悼50年ーその生と死 出版記念のつどい

『語り継ぐ1969』糟谷孝幸追悼50年ーその生と死 出版記念のつどい

と き:2022年1月10日(月・休)午後1時半~

ところ:大阪PLP会館大会議室(〒530-0041 大阪市北区天神橋3丁目9-27)

参加費:1,000円(関西圏以外の方は無料)

    (コロナ禍のため食事付きではありません)

主 催:糟谷プロジェクト

プログラム

開会あいさつ:内藤秀之(糟谷プロジェクト世話人)

第1部:シンポジウム

 「半世紀を振り返ってーポストコロナ時代にどう立ち向かうか」

 発題者:武藤一羊(ピープルズ・プラン研究所)

     山口幸夫(元「ただの市民が戦車を止める会」)

     要 宏輝(元連合大阪副会長)

 コーディネーター 白川真澄(世話人)

第2部:『語り継ぐ1969』発刊に思う  参加者から

 司会:田中幸也

申込み方法:事前申込みをお願いします。

 FAXの場合 096-244-7724

 メールの場合 m-yamada@po1.oninet.ne.jp

※会場参加またはZoomでの参加を明記して下さい。定員は各80名。先着順。

 オンライン参加の申込みは以下に事前登録お願いします。

 申込みされた方には事前にZoomのアドレスを送ります。

https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_dzvv1F1nSSC2jXrwTzojdA

※当日のトラブルなどは 090-4030-1219 まで

コロナ禍、日本株式会社の四度目の倒産危機!

日本株式会社の三度目の倒産危機といわれた2008リーマン・ショック、それ以前は、三大機械産業(輸送機械・工作機械・建設機械)が貿易黒字の稼ぎ頭だった。輸出産業では、以前から危機だった電機はリーマン・ショックで壊滅(サムスンや中国企業の後塵を拝す)、唯一の稼ぎ頭で残った自動車トヨタも最終損益は創業以来71年ぶりの4369億円の赤字(2009.3決算)。2020春闘協議の席上、トヨタの社長は「倒産」を口にしたほどだ。

日本株式会社の三度目の倒産危機といわれた2008リーマン・ショック、それ以前は、三大機械産業(輸送機械・工作機械・建設機械)が貿易黒字の稼ぎ頭だった。輸出産業では、以前から危機だった電機はリーマン・ショックで壊滅(サムスンや中国企業の後塵を拝す)、唯一の稼ぎ頭で残った自動車トヨタも最終損益は創業以来71年ぶりの4369億円の赤字(2009.3決算)。2020春闘協議の席上、トヨタの社長は「倒産」を口にしたほどだ。
そして今、世界は新型コロナという世紀末的危機に見舞われている。一蓮托生の国・大企業の先行きも予測不能、そして大企業の労使関係も安穏ではなく、連合もどう転ぶかわからない。敗戦後の二世代にわたる活動家層は払底してしまった(労働界の「2007年問題」)と言われるが、戦後労働運動は二世代を経て、まだこのレベルとみなすこともできる。為すべきことに不足や過ちはなかったか。労働戦線統一(連合結成)が本当によかったのか、どうか。連合が社会的役割を果たし得なければ、平和が戦争の始まりのように、統一は分裂の始まりになる。「連合=正社員組合の集まり」(2003連合評価委員会最終報告)に対して、外部からのルサンチマン、内部からの「リセット願望」の声がもっと大きくならなくては連合の自己改革、運動変革はない。闘いはこれから、世直しは後世に委ねるわけにはいかない。
(2020.07.03 要宏輝)